「種絆の糸をつかむ」
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「種絆の糸をつかむ」
講演会に参加するためにホテルを訪れたA氏。
会議場脇のクロークに荷物を預けながら、
ふと名刺入れを見ると、なんと5枚しか残っていない。
先の会合で配ったことを忘れて、補充し忘れたのだ。
クロークの女性は、Aさんの表情に気づいた。
「お客様、どうかなさいましたか?」
「いや、名刺を補充し忘れてしまってね。
5枚しか残っていないんだ。参ったなあ。」
「それはお困りですね。何枚ほど必要なのですか?」
「うん、少なくとも30枚はないとまずいんだ。」
これを聞いた彼女はすぐにこう提案した。
「少し薄い紙になりますが、カラーコピーでよろしければ、
私がとってまいります。その5枚、お預かりできますか?」
A氏の嬉しそうな表情が、目に見えるようだ。
次に、こんな場面をご想像いただきたい。
ホテルに1泊した朝の8時。
あなたは眠い目をこすりながら、
ルームサービスの朝食メニューを見ている。
前夜、お客さんと飲みすぎて、少々胃が重い。
できれば軽めの汁物がありがたい。そばか、うどんか。
そう思ってメニューを眺めても、それが見当たらない。
ふと、夜食メニューに目を移すと、
「きつねうどん」とある。
しかし夜食の時間帯は深夜12時から朝6時まで。
すでに2時間も過ぎている。
あなたはダメもとでルームサービスに電話を入れる。
「今の時間では、夜食のきつねうどん、無理だよね?」
「○○様、もちろん大丈夫です。料理長に伝えてまいります。
20分ほどお時間をいただけますか?」
スタッフからこんな返答をもらったら、どうだろう。
心がほっこりと温かくなるのではないだろうか。
お客様は、さまざまな想いをホテルに投げかける。
これは、いうなれば「絆の糸」。
では、こうしたお客様からの「絆の糸」に気づくのは
誰だろうか?
宴会場のクローク、ルームサービスの電話係。
そう、現場でお客様と向き合うスタッフたちだ。
彼らだけが、
お客様から投げかけられる「ニーズという絆の糸」を
受け取るチャンスを得ることができる。
社長、総支配人、取締役、部長、総料理長。
組織のリーダーは、
ひとたび“バベルの塔”にこもってしまうと、
お客様のこうした声が現場にたくさん届くことを
忘れてしまいがちだ。
しかし、こうしたリーダーこそが、
「絆の糸」に誰よりも敏感でなければならない。
「絆の糸」をしっかりとつかむことができるか、
あるいは、現場の判断でそれを切ってしまうのか。
この現場の力と感性こそが、
会社の発展や永続を左右する岐路となるのだから
人とホスピタリティ研究所代表の高野登さんの
「おもてなし日和」(文屋)より
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かゆいところに手が届くサービス精神。
人と接する上で大事な精神ですね。
絆の糸を意識し、大切にしましょう!!