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試験に弁当を忘れてしまって


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1月16日、Aさん(46)の娘さんは
大学入試センター試験に臨んだ。

Aさんは、いつもにも増して力を入れて弁当を作った。
卵焼き、から揚げにおにぎり。シチューを保温ポットに入れて持たせた。

ところが、娘さんは午前中の試験が終わり、
昼食を取ろうとしてハッとした。弁当がない。
バスの中に忘れて来てしまったことに気付いた。
試験のことで頭がいっぱいだったのだ。

当日は、大学内の売店や食堂は営業していない。
また、試験中の学外への外出は禁止されており、食べ物を買うこともできない。
同じ高校の友達に「分けてあげようか?」と言われたが、申し訳ないので断った。

だが、空腹に加えて、せっかく母親が作ってくれた弁当を
置き忘れてしまったことがショックで気落ちしてしまった。

その時だった。少し離れた席に座っていた男子が近づいて、
チョコレートの箱をサッと渡し、自分の席に戻って行った。
未開封のままの一箱。それにはノートの端を破ったと思われるメモが付いていた。

「弁当をバスの中に忘れたと聞こえてきました。
 脳に糖分。よかったらたべてください」と書かれてあった。
すぐに国語の試験が始まったが、うれしくて涙が出てしまったという。

Aさんは、
「その後はリラックスして問題が解けたと笑顔で帰ってきました。
その男子は試験終了後、すぐに姿が見えなくなり、
お礼を言うことができなかったそうです。
試験会場ではライバル同士のはず。よほど心の温かな方なのでしょう。
娘に手を差し伸べてくださり、ありがとうございました」と話す。

中日新聞掲載 2016年(平成28年)1月24日(日曜日)》